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No.20 職人の町<兵庫県三木市>

/ 100年住宅を考える

守って活かす金物の歴史

  むかし学校やテレビで 「 ♪ しばしもやまずに 槌うつ響 ♪ 」( 村の鍛冶屋 ) のメロディーが流れると、鍛冶屋職人の鉄を打つ情景がうかんできた。稲見酒造の 「むくり屋根」今では小学校の音楽教科書からも除かれ巷で聞くこともなくなってしまった。かつて大阪の大工は三木へ通って、道具を買ったり鋸の目立てを頼んだりしたが、今は廉価な金槌や替え刃が普及し行くこともなくなった。今も三木に行けば槌うつ響きが聞こえるだろうか。
上から、陶板をはめ込んだもの、コテ絵、のこぎり型のうだつ屋号  神戸電鉄 ( 粟生行き ) 三木上の丸駅を下車すると、城跡の小高い山がすぐ迫っていた。駅を下りて国道を渡ると旧街道の四つ辻に出た。大きな商家が街道に連なって昔の佇まいを守っている。
  町を歩いていると屋号を描いた 「 うだつ 」 や 「 むくり屋根 」 が多い。うだつの屋号は立体的なものから、左官の鏝絵であったり、焼き物をはめ込んだもの。大きな鋸もある。 「 むくり屋根 」 は中程が盛り上がり、滑らかな曲線を持つ勾配となっているため施工が難しい。大工と瓦職人が高度の技術を必要とする。大工が良い仕事をしても瓦職人が瓦を敷く技術を持たないと上手に仕上がらない。お互い気負って技術を高めてきたのであろう。カフェ 「日月くらぶ」 玄関の柱が右に傾いている古い家並に真新しい土蔵造りや塗りたてのなまこ壁が割って入る。
  古い商家を改装したギャラリーカフェ 「 日月くらぶ 」 で小休止した。表から見て一目で傾いていることがわかる。店前には奥さんの手作りパンが並び、その奥にカフェのテーブルと椅子が並ぶ。家具職人のご主人が製作したもので、ムクの材料を使っておしゃれに作っている。見渡すと手の込んだ建具や置き家具が目に付く。
  ご主人の徳永順男さんに尋ねると、築百五十年の傾いた古民家を改装するために明石工業高等専門学校の先生に耐震診断を仰ぎ、傾いたままリフォームしたそうだ。柱一本分傾いていたが、古い土壁は丈夫で竹もしっかりしていた。徳永さんは地元出身ではないがこの町を訪れ好きになり、古い町並みを守りたいと思うようになった。夕方になると、カフェ 「 日月くらぶ 」 に近郊の若い家具職人や建築関係者が集まり建築談義が始まる。

  線路をくぐり三木駅方面に向かうとアーケードのある古い商店街が続いた。シャッターを下ろした店も多く人通りは無い。その外れに三木金物を扱っている古い商家があった。暑い日差しの中、この家をスケッチしている男性がいた。建物を描く吉岡充先生 聞けば定期的に個展も開く水彩画家の吉岡充先生だった。
  金物店の重い框戸を開けると店内は明治時代のままであった。保存が良く、丁寧に使われている。三寿々刃物製作所の宮脇大和さんが奥から出てこられた。商社勤務をやめ三代目を継ぐことを決意した。理由は、三木の金物と古い建物を引き継いでいくことに使命感を覚えたからだ。包丁の使い方から手入れまで何でも答えますよ、と熱意が伝わる。
  良い道具は修理すればいつまでも使える道具です。三寿々刃物製作所の事務所自信に満ちた回答が返ってきた。古い机や飾り棚、すすけた天井や梁が喜んでいるような気がした。
  外に出て画家に話しかけた。 「 描き始めて七日目です。 」 建物全体が繊細なタッチで描かれていた。主に兵庫県の古い建物を描かれている。古い町並みの探訪で話が合いしばし話し込んだ。別れにご自身の描いた葉書を頂いた。以前POCOでご紹介した平福の川端風景だった。
  城跡に登ると三木金物資料館があった。入り口に立つと懐かしい 「 村の鍛冶屋 」 のメロディーが流れてきた。資料館には大きなのこぎりから小さなノミまで数百種類の展示品があり、見たこともない道具の多さに驚いた。職人建築の歴史と知恵にあらためて感動し、三木に住む人が三木の歴史に学び今に生かそうと努力していることに感心した。

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