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No.27 悠久の営みを刻む越前大野

/ 100年住宅を考える

「越前大野」の言葉の響きに誘われて訪ねた。昔の名前がそのまま残っているように、町並も昔のまま残っているのだろうか。そんな期待を持ち、朝早く車で出かけた。北陸自動車道を2時間30分ほど走り福井インターチェンジで下車すると、すぐ右へ曲がり山の中へ入っていく。しばらく暗い谷間が続き、段々明るくなってきたと思ったら急に田畑が広がる大きな大野盆地にでた。

 

前方に白銀でまぶしい白山(2,702m)が低く見える。白山の横には大野城が聳えていた。越前大野は織田信長の武将、金森長近氏が1580年移封され築城し縄張りをした。小京都と言われるように碁盤の目に建物が建ち、町人、武士、お寺などの区割りがそのまま残っている。メイン通りは道幅が広く、400年続いてきた「6間朝市」には新鮮な産物や珍しい加工物が並ぶ。買い物客は観光客より地元の人が目立ち地元の言葉が飛び交う。

 

 

この通りを囲む建物は北陸らしい壁を見せた真壁造りが多い。雪の害を避けるため屋根の軒が深く、その軒を支える為の工夫が随所で取り入れられている。多分江戸時代の建築物であろうか、梁のような太い垂木が伸び母屋を支えているものもあれば、防火壁が母屋を支え垂木を伸ばして軒を深くしているのもある。

 

 

また、寄せ棟造りでは軒を伸ばすために垂木を受ける垂木があり、その垂木を頬杖で支えている。まるでお寺のような屋根が普通の民家に見られる。この辺りには永平寺など神社仏閣を建てる志比大工がおり、優秀な大工には困らなかったのであろう。表の建物の裏には土蔵が並んでいる。2階は漆喰で塗られ、1階は下見板張りの塗り屋造りである。その蔵の軒が特に深い為、壁から軒先を細い頬杖で支えていた。これは雪の重みを支えるだけでなく、高い山に囲まれた地域特有の春一番に屋根が飛ばされないように工夫されているのである。

 

 

この頬杖はこの地方と青森県のある地域にだけ見られることから、江戸時代、北前船で伝わった建築文化なのかもしれない。この越前大野からは高山、美濃へも街道が延びている。高山にも同じような建物が見られるので家文化が街道を下ってきたのであろう。この手入れの良い町並みを歩いて不思議に思うことがある。それは何を糧にして町の人は生活しているのだろうか。という素朴な疑問である。高い山々から恵みの湧き水で生まれる美味しい米と農産物と加工品だけでこの町が成り立っているのだろうか。

 

 

もしそうなら、昔から変わらないスタイルで生活して来たということが言える。楽しそうに店を出している82才のおじいさんに声を掛けられた。大阪から30年前にここに住み着いたという。「都会の良さはないけど、ここの人はよそ者にもやさしいので暮らしやすい。」と話す。そんな人情のある悠久の町を、都会からやってきた異邦人が理解するには時の長さが違いすぎた。都会で生きることは時を刻む音が早過ぎると言うことであろうか。なかなかゆっくりとはいかない

 

 

 【POCO Vol.26 百年住宅を考えるより】

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