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No.21 静かな土の町<愛媛県 内子>

/ 100年住宅を考える

 松山市から予讃本線で一時間ほど南に下ると、里山が連なる小さな盆地に 「 内子 」 の町並みが広がっている。昔から主要な街道が集まる要所で、いろんな商いが発展した町である。町並みは地元産の浅黄土で作る漆喰壁が明るく、白漆喰との対比が快活な雰囲気を醸し出している。
  メインの本町通りには雑貨店、手焼きせんべい、桐下駄、棕櫚(しゅろ)細工、和紙、民芸品、和ろうそく、藍染め等の店が並び、客引きの声が響く。 観光客が出入りして往時を偲ぶことが出来た。 街道巾の広さが かつて問屋町であったことを証明している。浅黄色と白漆喰の壁が並ぶ本町通りの家並み失礼を顧みずに言わせてもらえば、四国の奥に、豪商が並んで店を構える問屋町があろうとは思いもしなかった。内子の不思議な底力を感じた。
  内子の歴史を紐解くと、この地は江戸時代に高品質の和紙を生産し、それにより内子は海外まで名を馳せたという。また明治の終わりには木蝋が最盛期を迎え、カーボン紙や化粧品、医療品など需要がある海外に輸出され、内子には数多くの大阪や神戸の商人が訪れた。
本芳我邸の庭から見た主屋 鬼瓦の下に懸魚が見える  木蝋で栄えた本芳我邸は町一番の豪商だった芳我弥三右衛門の屋敷で明治17年に建てられた。通りに面して平入りの屋敷が多い中、本芳我邸の土蔵だけが妻入りで、窓の造形美に進取の気風が満ちていた。窓の庇や格子窓の塗りは腕利きの左官が丹念に仕事をしたのであろう。格子戸が際立つ本芳我邸主屋 左に土蔵が見える主屋の一階は親子格子やユニークな格子戸で飾られ、端整な美の中にも独創性が際立ち、2階は格子戸と格子戸を包むユニークな鏝絵の組み合わせが楽しい。今までいくつも鏝絵に出会って来たが、これほど見事な風景は初めてであった。 通りには塗り壁の家が多い。 その理由を尋ねると腕の良い左官集団が健在であるとのことだった。これだけの家屋を維持管理出来るとは素晴らしいの一語に尽きる。
下芳我邸内部 昼は食事が出来る  間口一杯に千本格子をあしらった喫茶店のガラス戸を引くと、店内は木と漆喰とガラスの素材が居心地の良い空間を作っていた。中央には8メートルほどある栗のカウンターが前後を仕切り、椅子に座ると前方になだらかな町並みが広がった。「素朴で親切な人が多く、住みやすいので都会から戻ってきたの」。と女主人が言った。この町は知恵と個性で時代を乗り越えてきたと自慢げに話す。内子で最古の住宅その魅力が今でも町に住む人に残っていると言う。
  勘定を済ませて外に出た。いつの間にか日が沈み、落ち着いた空気が漂いだすと、人が急にいなくなった。一斉に早い店じまいが始まり、軽快な音を里山に響かせた。やがて止み、人の声もしなくなった。広い道を囲む家並みが先ほどの喧噪を忘れ、静かな顔をしている。やがて夕やみが濃くなると、土壁の色が夕やみにとけ、鏝絵、懸魚、破風、虫子窓、千本格子、鬼瓦が影絵のように浮き出し、その美しさに目を見張った。歴史の町はその生命力で今を包み込んでいるのだろうか。時の歩みが私の時を奪い取った。その心地よさだけが残響音のように残った。

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