初めてK宅を訪問した時に感じたことは整理整頓が行き届いた住まいという印象でした。それは家具、調度品のことだけでなく、間取りや広さが生活するのに丁度良い加減であったからでしょう。それにK様ご夫婦のシンプルな生活スタイルも印象に残りました。
既存の家は大きな家で、1階115㎡、2階37㎡。床下は高く、屋根は切りで屋根裏空間が大きい、夏冬は室内の寒暖の差を和らげる断熱性能があります。材木は総ヒノキ造りで4寸角の柱がふんだんに使われていました。しっかりした仕事振りに感心しました。
祖父が建てた、築57年の家は親子3代の暮らしを支えてきました。途中、2回の大きなリフォームを経て現在に至っています。
1回目のリフォームは家族が増えたので、台所を勝手口の横に別棟で建て、元の台所を大家族で使える食事室に改修しました。
2回目のリフォームは屋根の葺き替えと2階にあるお父様の書斎を広げ、トイレを増築しました。
また、愛着のある、玄関ホールは回り階段と2階廊下が吹き抜けて大きな空間を作っていました。1階の中央にあった、幅広の親子ドアを開けると中の間があり左に食堂、右に応接間が庭に面していました。時代を感じさせます。この応接室を挟むように12畳の床の間と祖母の部屋が同じく庭に面していました。広い庭からゆったりした時間の流れを感じる、素敵な住まいです。
このような家族の歴史が詰まったお宅を、今回耐震改修と二人で住むコンパクトな平屋に改修することになりました。
施工前 外観
施工後 外観
まず階段がなくなった玄関ホールは広さと天井高さを残し、白いクロスを貼った壁や天井に飾り造作材で幾何模様を現し昭和初期のデザインを再生しました。玄関ホールから入るリビングは家の中心に配置し、対面キッチンの横に納戸を設けて動線を短く配慮しました。夫婦のプライベートルームを南東の庭に面し明るく開放的に、床の間は和洋折衷で仕上げています。床はダークブラウンのフローリングを貼り、白いクロスの壁と敷居、鴨居、長押をダークブラウンに塗装して、落ち着いた事務所兼応接室に衣替えしました。浴室、洗面所、トイレの広さは将来を見据え十分な広さを確保して、おしゃれな内装材でシックに仕上げました。住宅設備はメンテナスを考慮し長く使えることを考慮しています。
施工前 玄関ホール
施工後 玄関ホール
施工後 事務所兼応接間
今回、減築して気づいたことがあります。まず減築にかかる費用が想定外に安く済んだことです。減築は材木や瓦が再利用でき、大工の手間がかからないので思いのほか短時間で作り替えることができました。改めて木造建築のフレキシブルな性能を再認識することになりました。二つ目は動線がシンプルになり暮らしやすくなったことです。三つ目はメンテナンスが簡易になり維持費の節約につながることです。四つ目は固定資産税の節税になることです。
このように減築には想定外のメリットがあり、将来を見据えた快適な暮らしを実現することになりました。ストレスフリーハウスと言えるでしょう。