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耐震診断結果を考える

/ 住まいの再生

【外観】開口部が多い南面の壁

 

神戸市東灘区の阪神高速に面して建つN邸は築15年(昭和56年新築)で阪神淡路大震災に遭遇した。周辺は倒壊した家屋が多く、Nさんの隣家が倒壊して、もたれ掛かったが、被害は瓦屋根のズレと外壁のひび割れだけで済んだ。

新築時、工務店に依頼したことは満潮時に台風が来ても海水につからないよう基礎を通常より高くすることと阪神高速の振動が伝わらないように基礎をしっかりすることだった。背が高く厚みのある基礎が家を丈夫にした、自慢の家である。しかし10年後、隣家が賃貸マンションに建て替えをすると、基礎の一部に亀裂が入り外壁にもひび割れが生じた。マンション建設業者に補修をしてもらったものの今日まで不安を引きずっていた。

 

【外壁】ひび割れの修理痕

 

先日、雨漏りで修理の依頼があり10年ぶりに訪問した折、自宅の耐震について尋ねられた。神戸市は震災対策が進んでおり、補助金などが充実している。耐震対策に必要な「耐震診断、耐震設計、耐震改修」の3本セットに補助金が最大150万設定されていることを伝え、耐震診断をお勧めした。現状の建物の図面と床下を含む目視調査をして一般耐震診断書を作成した。結果は思っている以上に悪く、耐震診断は0.1以下となり、「倒壊する可能性が高い」診断であった。

 

 

 

建物の耐震計画図を見てみよう。緑の斜線は基礎の補強、赤の三角印は壁の補強で「筋交い(すじかい)」を追加した。黒の三角印は元々の筋交いの入っている壁である。南北に壁量が多く設計されているが、東西の壁は少なく特に南面は開口が大きい。これは1階2階とも二間続きの和室の採光が配慮されたからでしょう。和室は解放感があり大変便利な部屋だが、壁量が極端に少ない。図面から判断できることはバランスの悪さで、地震時に北と南の揺れ時間が違い、建物がひねることで、力の弱い部位に地震力が集まり倒壊につながる危険が想定されることです。

 

 

したがって、耐震改修計画では南向きの和室の掃出しサッシの幅を小さくして耐震壁に置き換え、所々壁を設け、和室の設えを大幅に変える計画になった。しかし、この建物は地元で実績がある工務店に依頼し、腕の良い大工が手掛けた和風建築で、Nさんは全幅の信頼を置いていた。今回基礎にひびが入ったことは不安だが、阪神淡路大震災にも大きな被害がなく自信を深めている。にもかかわらず耐震診断の安全度は極端に悪い数値であった。不思議に思い再度大工と検討したところ下記のことを想定することができた。

1、 通し柱の径は125角であったことから、梁も大きいものが想定される。

2、 屋根が寄棟造りで組まれているため、大きな材の隅木が四方の柱を固定することで建物の強度を増している。

3、 仕口や継手でしっかり構造材を繋いでいる。

耐震診断の項目に屋根の形状は含まれていない。このことは建物の評価を正確に拾っていないことを明らかにし。基準の不備が問われることではないだろうか。大工に勝る木造の専門家はいないと思うが、もっと施工技術者の声を謙虚に聞く必要を痛感した。

耐震診断は数値を拾いだし判定する診断書を作るが、数値が至らないと熟練した大工が造った建物を標準に置き換えて判断するしかないことになってしまう。これはある意味耐震対策の思考を止めてしまうことになるのではないだろうか。Nさんは診断結果を素直に受け入れられないでいる。納得できる科学性が不足しているからだろう。木造建築の仕組みや地域性を考慮して住まいに寄り添う診断が問われている。

 

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