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No.28 兵庫県三田市の再生

/ 100年住宅を考える

白州次郎・正子の墓が三田市の心月院にあることを知り訪ねた。

三田藩藩主九鬼家の菩提寺心月院は城下町にあり道が卍にできている。方角がわかっていてもなかなか辿り着かない。畑仕事をしている男性に道を尋ねた。ついでにお寺の由来を聞くと「わしは足軽の出だからよく知らんので和尚に聞いて。」と言われ驚いた。

 

 

心月院は庭の美しい古刹で、江戸時代の建物が残り、時が止まった心地良さがあった。春のお彼岸で人が多い。しかし九鬼家先祖代々の広いお墓は高い塀に囲まれひっそりとしていた。中に入ると整然と並ぶ歴代大名の威圧的な墓に圧倒される。九鬼水軍の霊気が漂っているようだった。その手前に代々家老職を勤めた白州家の墓があった。末席の出入り口に白州次郎と正子の小さな墓石が並んである。墓石のユニークなデザインは正子に依る。しかし気性の激しい二人が実家のお墓に納まるとは面白い。

城跡には学校が建っており昔を振り返るすべもないが、城跡を取り囲む武家屋敷や商家が残っていた。特に上級武士の町並は当時のままであることがわかり、道幅の広い道路には、江戸時代から続く冠木門や板塀が今もしっかり手入れされている。よく見ると屋敷は建て替えられ、入母屋造りの和風建築が昔の面影を残し、町並をしっかり守っていた。

 

 

 

 

 

一方商家は鎌倉時代から続く門前町がそのまま残っており、土蔵造りの立派な建物が多く、長い年月を経て栄えてきた誇りを今に伝える。通りには婚礼品店、呉服屋、美術商、履き物屋など千里では見かけない店が並ぶ。店前に古い調度品を整然と並べている美術商「一富士」の重たい木製の引戸を開けた。

 

お茶の道具から掛軸、家具、焼き物など所狭しと置かれていた。奥から「いらっしゃい。」と声がした。「売りに来る人は多いけど、買いに来る人はいませんわ。」と屈託のない話で笑いを誘う。

築150年の造りに感心していると、「孫が来て言うんです。“おばあちゃんの家は木の家や!”と3匹の子豚の話をするのです。かないませんわ。」と笑う。しかし、「近所の人が家を建て替えてまだ15年しか経たないのに、外壁と屋根のリフォーム工事で500万円払ったのには驚いた。昔の家は修理せんで良いようにできているのにね。昔の家を建てる大工や職人がおらんからでしょう。」とあきらめ顔だった。「息子が跡を取らない店は廃業して更地にする。だから所々空き地がありますでしょう。もう10年もしたら住宅街になってます。」しかし、町を歩いていると、若い人の活動が少しずつ広がっているのが見えた。

 

呉服屋の娘婿が実家の古民家を改修して「蕎麦一」(そばいち)をはじめたと聞き訪ねると、武家屋敷をそのまま利用して「古さ」を売り物にこだわりの蕎麦屋を営業していた。

 

 

 

畳を板に取替、間仕切りの建具を取っ払っただけで、元々の雰囲気を残している。古い家具を再利用した質素な佇まいが蕎麦の味に合う。小さな子供をつれた若い家族が田舎の実家を訪ねたように、ゆっくり食事をしていた。

 

あるいは江戸から伝わる民家で、スローフードの料理教室を運営している方がいる。レトロな民家でゆっくり自然の食事を楽しむことを目的としている。スローフードからスローライフへ。共通の土俵が整いつつある。若い世代が三田の良さを発掘し次の時代に繋げようと模索しているのだろうか。

 

今はまだかたくなな旧市街地の存在が新しい風にあたり、和らいでいけば、そこに新しい三田だけの町並ができるのではないだろうか。急がずゆっくり町の推移を見守りたい。

 

 【POCO Vol.27 百年住宅を考えるより】

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