大阪の北摂地域(豊中・吹田・箕面)を中心とした
リフォーム専門店【グランマ】

お気軽にご相談ください。
0668462281
住まいの無料診断・耐震無料診断 ご予約受付中!

No.25 下津井に残る古い町並み(岡山県)

/ 100年住宅を考える

岡山県玉島の友人から、下津井に古い町並みがたくさん残っていることを教えてもらい、訪ねてみることにした。瀬戸大橋手前の児島インターチェンジで下り、標識に従って山を下ると10分ほどで下津井港に着いた。

 

 

駐車場の近くでおばあさんが地元で収穫したノリやたこの干し物など売っていた。その奥にある蔵にカフェギャラリーの小さな看板が目に入った。中に入ると先ほどのおばあさんの娘さんがまかないをしていた。「どうぞこちらへ。」

「蔵を上手に利用していますね。」と話しかけると、「おばあさんの持ち物ですが、跡取りもいないのでこんなことで利用しています。」

 

吹き抜けになった蔵の漆喰壁に下津井の絵が掛けてあった。「私の先生の作品です。生前、瀬戸大橋が掛かる前のよき時代の下津井を懐かしんで描かれていました。だから何となく寂しげですね。」使い込んだイカナゴの箱が椅子代わりに使われていた。ここの戸を開けると冷たい風が入るのですよ。とお嬢さんが開けるやいなや、ひやっとした心地よい路地風が入り込んできた。しばし、静かな蔵の中で瀬戸内の漁村の日常に接することが出来た。

 

 

そこから山手に上がり下津井街道に出た。巾2間あるかないかの道が山と海の間を蛇行している。両脇を昭和の民家や明治の商家が混ざって建ち並ぶ。そんな中に大きな屋敷の「むかし下津井回船問屋」が公開されていた。北前船で運ばれるニシン滓を大量に扱っていた豪商の屋敷で、下津井街道に面して十二間の間口が往時の繁栄を語っている。玄関を潜ると広い内玄関の右側に見世の間、商品の間、商談の間が奥まで並んで庭に面している。

 

 

 

内玄関の正面からは、幅広い三和土の通路を抜け、奥の中庭が見通せる。今の中庭は蔵に囲まれているが、昔はそのまま船着き場に接していた。船着き場からは、北前船で運ばれたニシン滓、数の子、昆布等が中庭に運び込まれ、蔵に取り置かれた。特にニシン滓を置いていた蔵は100坪の広さがあり、吹き抜けの天井まで積み上げられていたそうである。立派な丸太梁の架構と年季の入った土壁を見ていると、かつて大勢の人夫がニシン滓を運び込んでいた活気が伝わってきた。

 

しかし、豪商の屋敷を出て、街道を瀬戸大橋にむかうと、蔵や商家が並ぶ中に空地が目立ち寂れた印象を受けた。住宅が朽ちたり、跡取りが無いため壊したりして空き地が増えているという。町は住む人が守り育てないと朽ちていく現実を目の当たりにした。たとえ百年住める家があっても、住む人がいてこそ活かされる町のあり方を再認識した。下津井港の突堤から見える瀬戸内の多島美は昔と変わらない郷愁を静かに語りかける。夕方になると町の人が赤く染まる日の入りの景色を楽しみに集まる。夕日の傾きに海のあかね色が段々濃くなっていく。町の人はどんな思いでこの光景を見ているのだろうか。

 

【POCO Vol.24 百年住宅を考えるより】

お気軽にご相談ください。住まいの無料診断・耐震無料診断 ご予約受付中! TEL 06-6846-2281 メール info@grandma-homes.com