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No.19 古事記に載る町<兵庫県たつの市室津>

/ 100年住宅を考える

自然と共生する知恵が活きている

小学校から見る港 室津は不思議な町である。
 室津が1300年の年輪を刻んでいるのは、天然の良港という理由だけではない。共同体の文化がしっかり根付いているからだ。わずか5時間の滞在で知ることができたのは、町の中心にある室津民俗館の案内役、津田さんのお陰だ。
 人口1200人の町だが、みんな知り合いだと言う。祭り好きで、室津の町並み小五月祭り(女の祭り)、夏越祭り(男の祭り)や八朔のひな祭り、秋の室乃津祭。室津の人はお盆に帰省しなくても祭りには帰ってくるという。
 仲が良い理由を尋ねると、「水」と言う。川がないので数少ない井戸水が町の生命線になっている。水を守り公平に分ける知恵が、しっかりした共同体を作ったのであろう。

室津海駅館

海駅館の船底天井

 津田さんのご主人は、親はサラリーマンだが船に乗りたい一心で友人の父親に頼み込んで漁師になった。今も町の半数は漁業を生業にしている。

 坂を登ったら見晴らしの良いところに木造の廃校があった。子供が増えたので移転したという。跡取りには困らない。
 運動場から見下ろす室津の町は、キャンバスに描いたような良い顔をしていた。
 町に戻り石畳の通りを海に向かう。両脇を民家が押し合うように連なっている。建て替えるのが難しいのであろう。改装して維持している家は、手入れが行き届きセンスも良い。
 迂回して港に戻り防波堤の内側の道を歩く。立ち並ぶ家々の玄関先に小さな魚を編み目のように干している。お茶付けにすると美味しいそうだ。
 港の中央に室津海駅館が見えた。廻船問屋として活躍した豪商の遺構。江戸時代は文字通り "海の駅" として栄えた。二階の天井は屋形船の船底を思わせる珍しい意匠を残している。床は部屋ごとに高さが違い、まるで船の中にいるよう。通りに面した低いかけ縁の障子から見る町並みは、江戸時代の賑わいを予感した。

漁から戻り活気づく室津の港

作業する津田さん夫婦


 静かな館内を出ると、港が一変した。
 次から次へ戻る船と出迎える家族で、市場が始まったように活気があふれている。夫婦が収穫の魚やカニを振り分けている横で子供が遊ぶ。
 津田さんが、私を見つけ手を振る。手際よく作業をしている男前のご主人に合図を送った。ご主人は屈託のない日焼けした笑顔で振り返った。収穫が昔の半分以下になったと不満をこぼすが、仕事が楽しそうだ。三年前山手に家を建て、子供三人と暮らす。帰りには大きな渡りガニを三匹ビニール袋に詰めこんでくれた。

 良港があったから漁業で生計をたててきた。川がなかったから海が汚れなかった。川がなかったから井戸水を守り共同体を作った。井戸水を汚さないため山の自然を守った。この町の居心地の良さは、自然と共生する住民の知恵から来るのだろうか。
 近年、この町を気に入り都会から住み着く人が増えている。新しい住民とのコミュニケーションが自然とできている。

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