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No.17 文化の香り漂う町並み<兵庫県たつの市>

/ 100年住宅を考える

築150年、この家の木が愛おしい

兵庫県龍野市にある古い写真の風景を見に行った。
城下町の龍野市は道が入り組みわかりにくい。町の人に聞きながらたどり着くと、そこはお城の前だった。桜祭りが催され、武者行列が町中を練り歩き賑わっていた。満開の桜が城壁や醤油蔵の漆喰に映え、春爛漫の豪華な時間が流れていた。
賑やかな通りの中に赤とんぼの歌で知られている詩人三木露風が通った書店伏見屋商店があった。
外観も屋根もきれいにリニューアルされていたが、中に入って驚いた。築100年の内装が当時のまま使われていた。奥に広がるスペースに本が並び、その上は吹き抜けになって大きな天窓が設けられていた。2階は吹き抜けを囲むように廊下がめぐり、大きなのっぽの掛時計が正面から玄関をにらんでいる。斬新さは当時話題になったことだろう。
残してほしいという声があるので残しているが、商売は成り立っていない。という。四代目の竹内さんは子供たちに本を読む大切さを、機会があれば話している。「ものを考える力は本から生まれる。その力は人生で困った時に生きてくる。」と若い人の相談にのっている。日本の文化を大切にしないといけない。文化を残すために教育が大切と。風土史、文芸春秋などまじめな本が並んでいた。

旧家が立ち並ぶ通りに個展の案内が見えた。
冠門をくぐって、庭に立つと、そこここに絵画が飾られていた。家の中にも展示され、まるで小さな美術館のよう。芸大で学ぶ甥っ子のために解放した。と香山さんは笑顔で説明してくれた。身内や近所の人で賑わい楽しそうだ。この個展が昨日の新聞記事に載った事で話が盛り上がっている。
築80年の家の歴史をいろいろ語っていただいた。所帯を持った時、母親が大切にしていた茶室を人に譲って新居を増築した。当時は価値がわからなかったが今になって惜しいことをしたと言った。自慢のトイレを見てほしいと案内してくれた。築80年のトイレは当時のまま残っていた。タイルも割れがなくテラゾウで出来た洗面台も傷がない。手入れの良さにびっくりした。洗面台はタイルをカットしてはめられている凝った品だ。床にも同じタイルが張られていた。施主と職人のうらやましい共感が伝わってくる。親の代から大切にしてきた家を中心に、家族の絆を保つ。人が集まる家をこれからも続けたい。

ここで知り合ったご夫婦から自宅を見ますかと声をかけていただいた。ご主人からいただいた名刺の肩書きは声楽家とあった。
奥さんの実家は150年経っていた。600坪の敷地に長屋門と大きな屋敷が残っている。部屋数は全部で12部屋ある。ご主人の定年を待って兵庫県三田市から思い切って引っ越してきた。戦後リフォームした洋室は大きな化粧梁と五寸柱の架構を見せ、どっしりと大きな空間を守っている。この部屋で兵庫教育大学の退官記念コンサートを開いた。
住むと不便で、すぐに台所と風呂を改造した。冬は寒いし暗い。しかも維持費がかかる。今後この家をどうしようか考えている。時間があればいろんな町に出かけ、古い家を訪ねている。ご主人はこの家の木がいとおしいと言った。建物を生かし、教育と文化を育てようとする人。住まいと町のコミュニティーのコラボレーションで人生の楽しみを見つけている人。築150年の民家を次世代に繋ごうと知恵を絞っているご夫婦。家と人の知恵比べが豊かな社会を育てていると実感した。

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