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No.15 三代続く桶屋<三重県関市>

/ 100年住宅を考える

「桶重」三代目 服部重三さん 八十四歳

服部さんと一緒の写真三重県関市は東海道と伊勢街道を結ぶ宿場町。江戸時代から“お伊勢参り”で栄えた。東西二・五?の街道沿いに旅籠、問屋、銀行、酒屋、足袋屋、町家、鍛冶屋、桶屋、風呂、置屋まで。往時の町並みが横一列に並んで残っている。
駅前に車を置いて街道に出るとちょうど真ん中辺りだった。すぐ左に立派な構えの店が続く、商家らしくよく手入れがされていて美しい。
しばらく歩くと職人の店が並ぶ。桶屋の前に立った。ガラス障子越しに中を覗くと、使い込んだ板張りの隅に出来たての桶が積んである。横に道具が整然と並べてあった。椅子に座った桶屋の親方が手であっちに行けと合図をする。見てほしくないようだ。中を見せて頂こうと取っ手に手をかけたが鍵がかかっているようで開かない。親父は来るなと追い払うように手を振る。頑固親父だ。苦笑して去るしかなかった。

桶で作った金魚鉢しばらく歩くと、和菓子の「関の戸」で知られる深川屋には瓦屋根のついた立派な看板が上がっていた。町の端まで行き、戻る。
やがてまた桶屋の前を通った。頑固な親父と奥さんが椅子に座って暖を取っている。手を振ると今度は手招きした。奥さんに何か言われたのだろうか?鍵を開けてくれるのかと待っていると、強く空けろと仕草する。
力を入れると扉は開いた。おそるおそる入ると、観光客には迷惑している。とまず太い枯れた声でしかられた。職人は仕事してなんぼや。「あれは何?」「写真を撮るので仕事のポーズをしてみて」なんか言われると仕事できん。とまた一言。
一通りおしかり頂いた後、奥さんがお茶を注いでくれた。「たくさんの道具ですね。」「まだ中にある、何でも見ていったらいい。」と意外に優しい。写真も撮らせていただいた。作業場の中央に四角い穴が開いている。中には鉋屑が入っていた。ここで仕事をしているのだろうか。床板は使い込んで形が変形していた。
陳列棚には桶で作った金魚鉢があった。金魚鉢は十数個作ったが手間がかかるので止めた。値を上げても買いに来るので困ったそうだ。『桶屋は水を漏らしたらあかん。』夜中にピシッという木が割れる音がしたら今でも目が覚めるという。

関市の町並み五年前に脳梗塞で倒れ、一時仕事ができなくなった。しかし、病院の先生がびっくりするほど回復が早く一ヶ月後には仕事をしていた。よく手を使っていたお陰だと言う。
奥さんが嫁いだ頃は朝早くから夜遅くまで桶作りの手伝い。弟子の世話に明け暮れ、桶屋なんかに嫁に来るんじゃなかったと後悔したそうだ。しかし、今は良かったと言える。夫唱婦随で桶屋を盛り上げる。弟子も多い。
寿司桶を一つ所望した。すると人が変わったように、仕事中の写真を撮らせたり、作業場に上がらせてあれこれと説明した。さすが商売人。何百年街道沿いで生きてきた商売根性だろうか。人の流れだけでなく時代の流れも捉え商売に結びつけてきたのだろう。 
この町の人は、来た風に乗る。と言う。技術力だけで生きてきたのではないよ。と聞こえた。

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